C型肝炎の治療はインターフェロン(IFN)に始まり,その後,各種の経口薬が開発され,それに伴って治癒率も長足の進歩を遂げてきた。日本肝臓学会は「肝炎診療ガイドライン作成委員会」を立ち上げ,2012年5月に「C型肝炎治療ガイドライン」を作成・公表した1)。その後も新薬の登場に伴う頻繁な改訂を行い,2016年10月時点での最新版は,2016年10月発行の第5.1版である2)。
現時点でのC型肝炎治療薬の第一選択薬は,IFNフリーのdirect acting antivirals(DAAs)の組み合わせである。ジェノタイプ1型の慢性肝炎,代償性肝硬変症例に対しては,レジパスビル/ソホスブビル配合錠(ハーボニー®)もしくは,オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル配合錠(ヴィキラックス®)が第一選択薬である。ハーボニー®は重度の腎障害がない場合に,ヴィキラックス®はHCVのNS5A領域の分析を行い,Y93変異がない場合に用いる。
ジェノタイプ2型の慢性肝炎,代償性肝硬変症例に対する治療は,ソホスブビルとリバビリンの12週間の併用療法を,ジェノタイプ2a型の慢性肝炎限定ではヴィキラックス®とレベトール®の16週間の併用療法が第一選択薬である。
これらの経口薬には併用禁忌・注意薬が多数あり,その一覧表は日本肝臓学会HPの「C型肝炎治療ガイドライン」に記載されている。
【文献】
1) 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会:肝臓. 2012;53(6):355-95.
2) 日本肝臓学会肝炎診療ガイドライン作成委員会, 編:C型肝炎治療ガイドライン. 第5.1版. 2016.
[https://www.jsh.or.jp/files/uploads/HCV_GL_ver5.1_Oct08_fina_Oct12.pdf]
【解説】
滝川 一 帝京大学内科主任教授