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(2)腰部脊柱管狭窄症の診断サポートツール・鑑別診断[特集:腰部脊柱管狭窄症の鑑別と保存的治療]

No.4835 (2016年12月24日発行) P.30

宮腰尚久 (秋田大学大学院医学系研究科整形外科学准教授)

登録日: 2016-12-23

最終更新日: 2016-12-14

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  • 腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal stenosis:LSS)は単一の疾患ではなく,様々な原因によって生じる症候群である

    LSSの確定診断には,症状や身体所見と画像所見が一致する必要がある

    診断サポートツールは,確定診断を行うために使用するものではなく,あくまでも診断の確率(可能性)を高めるためのツールである

    1. 腰部脊柱管狭窄症(LSS)の病態と分類

    腰部脊柱管狭窄症(LSS)の病態の把握は,1954年にVerbiest1)が7例の治療経験をもとに発表した論文において,「起立・歩行によって下肢の疼痛や脱力,しびれなどの症状が悪化し,休息や腰椎椎弓切除術で寛解する症候群」の存在を明らかにしたことに端を発する。その後,様々な研究が行われ,現在では,「LSSは,腰椎の椎間板と椎間関節の変性を基盤として神経の通路である脊柱管や椎間孔が狭小化することで,特有の症状を呈する症候群である」とされている2)
    LSSは症候群であることからも,単一の原因で生じる疾患ではなく,様々な原因で生じる。LSSの原因別の分類には,Arnoldiら3)が国際的な会議を経て提唱したものが広く用いられている(表1)。この分類にあるように,LSSの原因は多岐にわたるが,中でも加齢に伴う変性によるものが圧倒的に多い。したがって,日常診療でLSSと言う場合には,変性が主体であり,かつ,不安定性の少ないもの〔表1の2-a-1)と2-a-2)〕を指すことが多い。加齢に伴う変性とは,椎間板の膨隆,黄色靱帯の肥厚,椎体骨棘の形成,椎間関節の肥大などを指すが,これらのすべてが脊柱管狭窄を生じる因子となる。

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