厚生労働省は22日、精神病床に1年以上入院する長期(慢性期)入院需要を、2020年度末に14.6万~15.7万人とする目標値案を、「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」に示した。地域の精神保健・医療・福祉体制の基盤を整備し、自宅や福祉施設での生活へ移行できるよう促す。
2014年の精神病床の入院需要は28.9万人で、うち慢性期入院需要は18.5万人。厚労省の目標値案(表)では、アウトリーチの充実など地域移行に伴う基盤を、20年度末までに最大4.6万人分、25年までに最大9.8万人分整備し、25年までに慢性期入院需要を9.7万~11.6万人まで減少させる。
同省研究班の実施した全国調査では、認知症を除く精神障害で1年以上入院している患者の約4割が、地域の基盤整備によって地域生活への移行が可能とされている。これを踏まえ同省は、第5期障害福祉計画(2018~20年度)の成果目標の1つに精神病床における長期入院患者数を用い、目標値を設定する方針を示している。