小児急性中耳炎は常に変貌しており,詳細な鼓膜の観察をしないまま経験的治療に頼ることは戒めなければならない。従来,小児急性中耳炎は3,4歳から上の年齢で発症するように思われていたが,実際には0,1歳での発症が中心の病気である。加えて,詳細な鼓膜観察が難しいために上気道炎として治療を受け,気づかれずに放置されているという問題もある。これは小児科医,耳鼻咽喉科医ともに感ずる部分ではないかと思う。
本特集では,クリニックを開業する傍ら,中耳炎の研究に邁進されている3名の先生方にそれぞれの立場から解説を頂いた。論文の内容が今後の中耳炎診療の一助になることを願っている。
1 開業医からみた小児急性中耳炎の疫学と実際
医療法人大徳会加藤耳鼻咽喉科医院院長 加藤俊徳
2 小児急性中耳炎診療ガイドライン ─追加・変更内容とスコアリングによる重症度分類
さわだ耳鼻咽喉科・眼科院長 澤田正一
3 急性中耳炎ガイドラインの使い方 ─小児科医がみる中耳炎
医療法人社団嗣業の会外房こどもクリニック院長 黒木春郎