「小児急性中耳炎診療ガイドライン」が2013年版として改訂された
スコアリングにより,軽症・中等症・重症に分類されるが,鼓膜所見の項目から光錐が削除された
肺炎球菌迅速検査キットなどの細菌培養検査の活用が追加された
治療アルゴリズムにおいて,抗菌薬の1回目の判定を5日目から3日目に変更した
新規抗菌薬(テビペネムピボキシル,トスフロキサシン)の位置づけをした
1990年後半,乳幼児において難治性中耳炎,反復性中耳炎が増加した。主に肺炎球菌に対する薬剤耐性が増加したことによるが,ついで耐性インフルエンザ菌が出てきたことで,さらに小児急性中耳炎において難治・反復例が増加した。このような小児急性中耳炎に,各医療者が何の指針もなく治療をしていては耐性菌の増加を止めることは困難であるため,耐性菌を増加させないような抗菌薬治療,エビデンスに基づいた標準的治療の指針を作成しようと,日本耳科学会が中心となり「小児急性中耳炎診療ガイドライン」の作成が始まった。
そして,2006年3月に「小児急性中耳炎診療ガイドライン」が初めて公表された1)。以降,多くの医療機関においてガイドラインに基づいた診断・治療が行われ,小児急性中耳炎の難治・反復例は減少してきた。ガイドラインが徐々に浸透してきた中で,初回発表から3年後の2009年に第1回の改訂が行われた2)。
2009年版での変更点を以下に記す。
(1)スコアの年齢条件として36カ月未満を3点加算としていたが,24カ月未満を3点加算とした。
(2)発熱を37.0℃以上としていたのを37.5℃以上とした。
(3)鼓膜所見では光錐減弱(鼓膜混濁)が新たに評価項目に加えられた。
(4)反復性中耳炎の定義を明記し,チューブ留置や漢方補剤についての有効性を付記した。
さらに4年が経過し,第2回の改訂が行われ,2013年版が発表された。
本稿では,ガイドライン2013年版の改訂のポイント,追加・変更内容について述べる。
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