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(3)急性中耳炎ガイドラインの使い方─小児科医がみる中耳炎 [特集:小児急性中耳炎診療 ─開業医的ガイドラインの使い方]

No.4711 (2014年08月09日発行) P.29

黒木春郎 (医療法人社団嗣業の会外房こどもクリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-28

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  • 小児科医にとって,急性中耳炎はcommon diseaseの1つである。診療では,鼓膜所見のとり方が重要となる。拡大耳鏡により観察し,光錐とツチ骨輪郭を指標にする

    抗菌薬はAMPCを第一選択に考える。難治・反復の危険因子を考慮し,こうした危険因子のある場合はCVA/AMPC,CDTR,TBPM,TFLXも選択薬剤とする

    急性中耳炎予防には,ワクチン接種の推奨,禁煙,母乳育児などが挙げられる。哺乳姿勢,集団保育も罹患と関連する。これらを考慮した患児・家族支援が望ましい

    1. 小児科医にとって急性中耳炎とは

    小児医療の中で急性中耳炎は一般的な疾患である。上気道炎に罹患する児の多くは急性中耳炎を合併している1)。小児科医にとっても鼓膜をみることは日常診療の中に含まれている。しかしながら,すべての小児科医が鼓膜所見を正確にとり,耳垢除去を完璧に行えるとは限らない。筆者は耳垢除去を完璧に行う自信はない。小児の急性中耳炎は気道疾患の延長であるととらえている小児科医は多く,耳鼻科医とは局所所見のとらえ方は異なるが,診療の際に小児科医としての特徴も出せると考える。本稿では,小児科医が急性中耳炎を診療する際の留意点,ガイドラインの読み込み方を提案する。

    2. 小児科医にとっての急性中耳炎ガイドラインとは

    現在本邦では,小児科医の側から学会として関与した急性中耳炎ガイドラインは存在しない。小児急性中耳炎のガイドラインとしては「小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版」2)(以下,GL2013)が出版されている。GL2013は耳鏡で鼓膜所見を正確に判断できる耳鼻咽喉科医向けのものであるが,小児科医の診療に際しても有用である。本稿では,GL2013をもとに,小児科医としてどのように急性中耳炎を診療できるか考える。

    3. 鼓膜所見のとり方

    鼓膜所見のとり方は小児科医であっても基本的診療技術として身につけておきたい。小児科医向けの中耳炎指針としては土田のものが明快である3)。そこで,掲載されているチャートを編集し再掲する(図1)。土田は鼓膜所見のとり方としてマクロビューT M (ウェルチ・アレン・ジャパン社)を推奨し,鼓膜観察の要点を光錐とツチ骨に集中させている(図2)。中耳炎と診断できない場合は「今回はあきらめる」という選択も含まれている。簡潔で実際的である。



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