farnesoid X receptor(FXR)は胆汁酸をリガンドとする核内受容体であり1),retinoid X receptor(R XR)とのheterodimerを形成して作用する。肝細胞内に胆汁酸が増加すると,FXRと結合しチトクロームP450 7A1(CYP7A1)を減少させることにより胆汁酸の生合成を低下させ,Na+/taurocholate cotransporting polypeptide(NTCP)を減少させて胆汁酸の取り込みを抑え,bile salt export pump(BSEP)を増加させて胆汁酸の排泄が促進し,肝内の胆汁酸が低下するように作用する。
FXRの活性化は脂質代謝のみならず,糖質代謝も改善すると考えられている。FXRは腸管にも発現しており,メタボリックシンドローム改善の新たなターゲットとしても注目されており,腸管のFXRを介して,胆汁酸と腸内細菌が脂質・糖質代謝を調節していると予想される。
これまで,各種のFXRアゴニストが報告されているが,ケノデオキシコール酸(CDCA)の6α位にエチル基を導入した6α-ethyl-CDCAの構造を有するINT-747は,現在,原発性胆汁性胆管炎(P BC)や非アルコール性脂肪肝炎などの臨床試験が行われており2)3),最近,PBCの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可された。また,数々の疾患の治療薬としての可能性も秘めており,今後の検討が待たれる。
【文献】
1) Makishima M, et al:Science. 1999;284(5418): 1362-5.
2) Neuschwander-Tetri BA:Gastroenterology. 2015;148(4):704-6.
3) Neuschwander-Tetri BA, et al:Lancet. 2015; 385(9972):956-65.
【解説】
滝川 一 帝京大学内科主任教授