著者は多くの研究業績を残したオーストラリアの呼吸生理学者(John B. West 著、Blackwell Science Ltd、1977年刊)
大学5年生の夏休み前、ふと手に取った本書が、私の進路を決定づけた。わずか120頁あまりの小型の本であるが、実に秀逸である。
豊富な図を用いて、肺における換気・血流比について詳細に解説されていた。私たちの肺の持つ機能の神秘に触れた気がした。実験手法にも魅力を感じた。教科書でよく見かける図も掲載されており、オリジナルはここにあったのかと、ルーツを見つけたようでうれしく感じた。あまりの面白さに数日で読み終えた。
自分もこんな実験をしてみたいと思い、諏訪邦夫先生を訪ねた。しかし、今は呼吸の実験をしていないから、循環の研究をしてみないか、と言われた。私は、意欲が溢れている状態だったので、喜んで承諾した。
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