ロサンゼルスのダウンタウンに、リトルトーキョーと呼ばれる米国最大の日本人街があります。そこにある“リトルトーキョーサービスセンター”で、日系二世でエグゼクティブ・ディレクターのMatsubayashiさんとソーシャルサービス・ディレクターのSakamotoさん、ソーシャルワーカーのSuhさんから、ロサンゼルスに住む日系人高齢者の介護について話を伺いました(写真1)。
「リトルトーキョーサービスセンターは、ロサンゼルス郡に住む英語が苦手な低所得の日系人のために、日英両語でソーシャルサービスと地域開発を行っています。特に、高齢者と子どもがいる生活困難な家庭を支援しています。35年の歴史があり、寄付で運営されています。リトルトーキョーに住む日系人は長命で研究対象になるので、その研究費からも運営資金を得ています。米国では成人した子どもは親と一緒に暮らしません。日系人も同じです。ロサンゼルスのアジア人は、介護が必要になったら介護施設に入ります。現役世代はサンドイッチジェネレーションと呼ばれます。それは、親の世話、自分の仕事、子育てで忙しいからです。
高齢者はAging in place(住んでいる場所や地域で老いていく)を望みます。そのため、リトルトーキョーサービスセンターは、自宅の改築を斡旋したり(キッチンの高さを低くする、手すりをつける、緊急コールをつけるなど)、買い物・食事・入浴などのサービス業者を紹介したりして、高齢者が自宅で長く暮らせるように支援します。食事には、昼食の提供(2~5ドル)や配食サービスがあります。
いよいよ自宅で暮らせなくなったときは高齢者アパートに移りますが(1部屋、キッチンあり)、入居希望者が多いため5~10年待ちます。そこでは孤独死もあります。高齢者アパートの住人は在宅ホスピスサービスを知らない人が多いため、ホスピス施設に移り、そこで亡くなるそうです。
ロサンゼルスには日系の高齢者介護施設が2つあります。いずれも日系人が好む食事が提供されるので、人気があります。同じ場所にインディペンデント・リビングやアシスティド・リビングと類似した機能を持つインターメディエイト・ケアとナーシング・ホームがあり、CCRCのように継続した介護を提供しています。
リトルトーキョーサービスセンターは終末期医療の教育にも力を入れており、リビング・ウィルについては、“FIVE WISHES(5つの願い)”を希望者に1ドルで配布しています。購入した人は、その場で希望する終末期の医療を記入するそうです。このようにリトルトーキョーサービスセンターの活動は、援助を必要とするロサンゼルスの日系人高齢者に役立っています」
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