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(2)新規抗てんかん薬は何を変えるのか[特集:「見せかけの難治てんかん」への挑戦]

No.4853 (2017年04月29日発行) P.28

赤松直樹 (国際医療福祉大学福岡保健医療学部医学検査学科教授/福岡山王病院脳・神経機能センター神経内科)

登録日: 2017-04-28

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  • 新規抗てんかん薬の利点には,他剤との相互作用が少ない,副作用の程度が軽い,専門医以外でも使いやすいことなどが挙げられる

    新規抗てんかん薬の登場によって,胎児・新生児への影響がより少ない治療ができるようになった

    薬物相互作用などの問題を考慮すると,高齢者のてんかん治療には新規抗てんかん薬が有用である

    抗てんかん薬の選択にあたっては,個別条件を勘案し,副作用を含めた薬剤の特徴を考慮して決定する必要がある

    1. 抗てんかん薬の作用機序

    てんかんは比較的頻度が高い疾患で,先進国では1000人当たり約8人の有病率であり,わが国には約100万人の患者が存在する。てんかん治療の中心は抗てんかん薬である。抗てんかん薬は,脳の神経細胞の過剰な電気活動を抑制することで,てんかん発作を抑える効果があり,その多くは,脳神経細胞の電気活動を担っているイオンチャネルや神経伝達物質に作用する。抗てんかん薬による治療は,脳内に一定濃度の抗てんかん薬を存在させることで,てんかん発作を生じにくい状態に神経回路を保つことであり,発作型に応じて効果が最も期待できる薬剤で治療するのが原則である。
    長期にわたって内服するので,薬剤選択時には副作用のプロフィールも考慮しなければならない。抗てんかん薬の治療によって,70~80%の患者は発作が完全に抑制されて普通の生活を送る上で支障がなくなる。このように,抗てんかん薬はてんかん治療における中心的な役割を果たしている。
    1980年代までは,主に4~5種類の抗てんかん薬が臨床で用いられていた。しかし1990年以降,新しい抗てんかん薬が次々と開発され,現在では約20種類の抗てんかん薬が存在する。わが国では,これらの新規抗てんかん薬の承認・発売が数年ないし十数年,欧米から遅れるというdrug-lugが存在していたが,こうした状況はしだいに改善してきており,今ではかなり欧米に近づいてきている。抗てんかん薬が4~5種類から約20種類に増加したことで,抗てんかん薬治療の風景は大きく変わったと言われている。

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