常時雇用する労働者数が50名以上の事業所では,安全委員会および衛生委員会の設置が労働安全衛生法により義務づけられています。両者を統合させて安全衛生委員会として開催している会社が多く,毎月1度各部署の職員代表が集まり,職員が安全・快適に働くための職場環境づくりや職員の疾病予防,健康増進のためのミーティングが開かれます。筆者も産業医として様々な企業の安全衛生委員会に参加しています。
安全衛生委員会の素晴らしさは,職員が健康に快適に働くための「職員による職員自身のための会」という意義にあります。会社組織は営利団体であるため,つい「顧客満足度を上げるため」「より多くの利益を上げるため」に視点が向きがちですが,それを支えているのは1人ひとりの社員です。その社員が快適で安全に働けてこそ,コンスタントな企業活動が可能になるのです。
この視点を,ぜひ医療機関にももっと導入して頂きたいと思います。筆者が今まで勤務した病院では,「感染対策委員会」「医療事故防止委員会」「患者満足度アップ委員会」「栄養委員会」など様々な委員会が開催されていましたが,職員の就労環境の快適さや健康を増進する委員会はほとんどありませんでした。
ぜひ規模の大小にかかわらず,医療機関でも「職員による職員自身のための会」つまり「安全衛生委員会」を開いて頂きたいと思います。
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