【質問者】
深川雅史 東海大学内科学系腎内分泌代謝内科教授
典型的なファブリ病患者は男性4万人に1人と推定されていましたが,近年,非典型例(心ファブリ,腎ファブリなど)や女性ヘテロ症例の存在が認識されるようになりました。左室肥大や心筋症の3~4%,透析患者の1%がファブリ病患者であるとの報告もあります。最近わが国で行われた新生児スクリーニングの報告では,7000人に1人とされています。正確な頻度は今のところ不明ですが,ご指摘の通り,診断されずに見逃されている症例は相当数,国内に存在するものと考えられます。
学童期に始まる手足の(灼けるような)特徴的な痛みで発症することが多いのですが,臨床症状は多彩です。ほかに明らかな原因がなさそうな四肢末端痛,心肥大や不整脈,腎障害(蛋白尿,腎機能低下),角膜混濁,皮膚所見(被角血管腫),低汗症(体温上昇),難聴,下痢等の消化器症状,若年発症の脳血管障害などを見たときに,まずは本疾患を想起することが最も重要です。
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