厚生労働省は17日の社会保障審議会医療保険部会に、後発医薬品の使用促進策として、後発品がある先発品の使用を患者が希望した場合、後発品との差額分を患者から徴収する案を示した。政府の「経済・財政再生計画」の改革工程表に基づく提案。工程表では、先発品価格のうち後発品との差額分の負担のあり方について、今年央をメドに結論を得るとしている。
会合で厚労省は論点として、①先発品の使用を選定療養とし、先発品と後発品の差額分は医療機関等が患者から徴収する、②先発品薬価を後発品と同額まで引き下げる─の2案を提示。委員からは両案への慎重論が相次いだ。
2案のうち①については、松原謙二委員(日本医師会)が「とんでもない提案。このテーマはこれまでにも議題に上がる度に否定されてきた」と批判。「医師は患者の状態に基づき最適な薬剤を判断している」として、患者の希望を根拠に負担を求める考えに反対した。白川修二委員(健康保険組合連合会)は「後発品薬価が高止まりし、財政効果は薄い」とした上で、「国民の理解を得るのは難しい」と述べた。一方、小林剛委員(全国健康保険協会)は「対象薬剤を限定するなど条件を付けるべき」としつつ、導入に賛成した。
②については、井川誠一郎参考人(日本慢性期医療協会)が「同額なら(臨床医は)レガシー(先発品)を選ぶ」と指摘。藤井隆太委員(日本商工会議所)は「先発品メーカーの創薬に対する意欲が低くなる恐れがある」と懸念を示した。