日本医療労働組合連合会(医労連)の精神部会は1日に会見を開き、医療法におけるいわゆる「精神科特例」(用語解説)の廃止を求めるなどとした提言を発表した。同部会は同日、提言を厚生労働省に提出。今後、自治体請願や国会議員要請に取り組むとしている。
提言では、国が打ち出している精神障害者の地域移行の取り組みが進まない理由として精神科特例を挙げ、入院平均日当は一般病院の約3割、100床当たりの医師数は23.5%、看護師・准看護師は52.6%という現状を紹介。90%台の病床利用率を確保しないと経営困難である一方、精神病床の9割以上を民間病院が占めるため、経営の安定に主眼が置かれ、長期入院患者は必然的に増えると指摘した。さらに、近年では3カ月以内での退院が増加していることから、空床対策として認知症患者を積極的に入院させる新たな問題も生じているとした。
その上で、国に対し、精神科特例などの政策の誤りを認め、謝罪することを要求。精神疾患患者の尊厳回復や社会からの偏見解消につながり、地域での長期ケアと個人に見合ったリソースが整う政策が進むと強調した。また、入院医療から地域へ政策転換が完了するまで民間の精神科病院の経営と職員の雇用を保証すべきとした。
会見で提言を説明した医労連の森田進書記次長は、「ハンセン病患者の収容政策などと同様の対応を精神医療にも求めたい」と話した。