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家庭用体重計を用いて計測した変形性膝関節症患者の膝伸展筋力 第2報─椅子に座って計測した結果

No.4861 (2017年06月24日発行) P.42

戸田佳孝 (戸田整形外科リウマチ科クリニック院長)

登録日: 2017-06-26

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  • 先行研究では,変形性膝関節症(膝OA)患者の膝伸展筋力を,ベッド上において膝を伸ばした状態(長坐位)で,手を使ってベッドを圧迫しながら家庭用体重計を用いて計測した。そこで今回は,椅子に座った状態(椅子坐位)で,手を胸の前に組んだ姿勢で計測した。その結果,椅子坐位での計測値は,股関節伸展筋力が加わらないため,長坐位での計測値に比べて低かった。70歳以上の男性において,長坐位での膝伸展筋力はコントロール群と膝OA群の間で有意差はなかったが,椅子坐位での膝伸展筋力は膝OA群がコントロール群に比べて有意に低かった。このように,椅子坐位での計測は,長坐位での計測に比べて疾患感受性が高いという利点がある。

    1. 研究の目的

    変形性膝関節症〔膝OA(osteoarthritis)〕の痛みや機能障害と最も深い関連性がある因子は膝伸展筋力の減弱であり,単純X線像における重症度との間に有意な相関性はない1)。過去に筆者は,ベッド上において膝を伸ばした状態(長坐位)で,上肢を支持しながら家庭用体重計で膝伸展筋力を計測した結果を報告した2)
    しかし,解剖学的に膝伸展筋である大腿四頭筋は,股関節伸展筋である大殿筋と連結しているため,長坐位での測定において殿部を持ち上げれば股関節が伸展し,大殿筋が収縮することで大殿筋の筋力が測定値に反映されてしまう3)。また,長坐位で手を使ってベッドを圧迫する姿勢での測定は,体幹が固定されることで下肢筋の筋活動が高くなるため,手を使わなかった場合に比べて測定値が3倍になる4)
    今回の研究では,椅子に座った状態(椅子坐位)で手を胸の前に組んだ姿勢で,家庭用体重計を用いて膝伸展筋力を計測した。対象は40歳以上の中高年244例とし,膝OA群と,年齢が同等で膝に痛みがないコントロール群の間で椅子坐位での膝伸展筋力計測値に差があるか,そして膝OA患者はどの程度の筋力を目標にトレーニングを行うべきかについて検討した。

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