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中高年の腰曲がり(後弯症)・側弯症に対する手術適応【保存的治療が不可で著しい骨粗鬆症を伴わない中高年者が対象】

No.4863 (2017年07月08日発行) P.60

田中靖久 (公立学校共済組合東北中央病院病院長)

阿部栄二 (秋田厚生医療センター名誉院長)

登録日: 2017-07-06

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  • 近年,中高年の腰曲がりや側弯症,あるいはそれらの合併例に対して,手術治療が行われてきています。良い手術成績もあれば,重篤な合併症の報告もあります。手術適応および手術の実際における注意点などについて,秋田厚生医療センター・阿部栄二先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    田中靖久 公立学校共済組合東北中央病院病院長



    (1)手術適応
    杖や体幹コルセットなどの保存的治療で十分対応できない愁訴を持ち,著しい骨粗鬆症を伴わない,80歳くらいまでの意欲のある元気な中高年者が手術の対象となります。

    脊柱起立筋の萎縮が軽度で,立位体幹バランス不良も軽度な局所後弯や側弯変形による腰痛や下肢神経症状は,従来の局所的な除圧と短い固定範囲による矯正固定で対応できます。しかし,著しい立位体幹バランス不良を伴う後弯変形(腰曲がり)や後側弯変形で,体幹コルセットや杖などの補助具で対処できない易疲労性の直立歩行障害や立位保持障害は,脊柱起立筋の萎縮や骨粗鬆症を伴うため胸椎から骨盤までの広範囲の矯正固定が必要となります。

    最近,手術の低侵襲化技術が進歩し,胸椎から骨盤の広範囲矯正固定でも術中出血量は1000mL以下(平均700mL)で,手術侵襲の大きさは問題になりません。脊椎骨粗鬆症を伴う例でも副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)製剤の投与により,骨質改善して対応できるようになってきています。しかし,この広範囲の矯正固定は,難易度のかなり高い手術となりますので,この手術の経験が豊富な医師のいる施設での手術を勧めます。

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