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ABO血液型不適合腎移植における脱感作療法の進歩【リツキシマブの術前投与がもたらす,適合移植と遜色のない移植腎生着率】

No.4865 (2017年07月22日発行) P.62

三浦健一郎 (東京女子医科大学腎臓小児科講師)

服部元史 (東京女子医科大学腎臓小児科教授)

登録日: 2017-07-19

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わが国では献腎ドナーが少ないことから,腎移植ドナーを親族に頼らざるをえない場合が多く,ドナーとレシピエントの血液型が不適合となる場合がある。血液型不適合腎移植においては,予防処置なしでは移植後速やかに抗A抗体や抗B抗体による抗体関連型拒絶が起こるため,脱感作療法として,血漿交換による抗体除去と脾臓摘出が行われ,その結果,血液型適合移植と同等の腎生着率が報告されてきた1)

リツキシマブは抗CD20モノクローナル抗体であり,B細胞を枯渇化させることによって抗体関連型拒絶を抑制する。わが国では2002年以降,ABO血液型不適合腎移植において脾臓摘出を行わずに,リツキシマブを術前に投与する試みがなされ,急性拒絶反応や腎生着率の点で血液型適合移植と同等か,より良好な結果が報告されるようになった1)2)。これを受けて,16年2月,リツキシマブの効能・効果に「腎移植,肝移植のABO血液型不適合移植における抗体関連型拒絶反応の抑制」が追加された。

当科でも05年以降,小児ABO血液型不適合腎移植にリツキシマブを導入しているが,血液型適合移植と遜色のない移植腎生着率が得られている。小児においてもABO血液型の不適合は,腎移植に際しての大きな障壁とはならない。

【文献】

1) Fuchinoue S, et al:Transplantation. 2011;91 (8):853-7.

2) Takagi T, et al:Transplantation. 2010;89(12): 1466-70.

【解説】

三浦健一郎*1,服部元史*2  *1東京女子医科大学腎臓小児科講師 *2同教授

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