100の外科系学会で構成する外科系学会社会保険委員会連合は11日、2018年度の次期診療報酬改定に向けた要望を公表した。岩中督会長(埼玉県立小児医療センター)は、「複数手術に関する診療報酬算定ルールの見直し」を要望の柱に位置づけ、8月上旬にも厚生労働省に対し働き掛けを行う方針を示した。
現行の診療報酬では、「同一手術野又は同一病巣につき、2以上の手術を同時に行った場合の費用の算定は、主たる手術の所定点数のみにより算定する」との取り扱いが示されており、原則として複数手術の算定は認められていない。
岩中会長は「高齢化が進み複数疾病を抱える患者が増加している状況に、現行ルールは対応できていない」と問題視。「次期改定ではまずこの点について、そろそろ考え方を改めてもらえるよう要望していきたい」と強調した。具体的には、同一手術野に複数手術を行う場合、開腹分の点数の減算を行った上で、すべての手術の所定点数を算定できるようルールの見直しを求めていく方針だ。
このほか瀬戸泰之実務委員長(東大)は次期改定の要望の方向性として、①人件費・医療材料費の適正化、②腹腔鏡等手術の一括要望、③縫合器加算の一括要望、④医療技術の新しい評価軸の発信、⑤16年度改定での問題点の解決─などを求めていく方針を示した。このうち⑤の前回改定の問題点として「夜間・休日加算の施設基準の緩和」(用語解説)を挙げ、「当直人数が毎日6人以上の病院が対象となっており、民間病院では不可能」と指摘。「実態に合わせ、内科1人、外科1人程度でも要件を満たせるよう見直すべき」と訴えた。