厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(座長=岩村正彦東大院法学政治学教授)が2日、初会合を開き、医師の労働時間短縮に向けた具体策について議論を開始した。年内にも中間整理を行い、2020年以降の医学部定員の判断材料となる医師需給推計に反映する。
政府の「働き方改革実行計画」(用語解説)では、医師に対する罰則付き時間外労働の上限規制の適用が、医師法に基づく応招義務などの「特殊性」を踏まえ、改正労働基準法の「施行5年後メド」まで猶予された。医師の労働時間短縮策については、医療界が参加する検討の場を設け、2019年3月までに結論を出すことになっている。
同検討会の設置は実行計画を踏まえたもので、構成員は総勢22人。医療機関の管理者、医療団体の代表、労働法制の専門家など、検討会の“常連”ばかりではなく、若手の勤務医や女性医師、看護師なども参画している。
会合の冒頭、挨拶に立った塩崎恭久厚労相は、医師の長時間労働是正に向けては「医師の働き方改革は、医師のみのことを考えればよいわけではない。他職種へのタスクシェアリング(業務分担)、タスクシフティング(業務移管)を通じて医療現場の負担を最適化し、若手医師や女性医師も働きやすい環境に調整する必要がある」と強調した。
会合では、医師の勤務実態や労働時間規制を巡り、自由討議が行われた。市川朝洋構成員(日本医師会)は「できることから始めることが大切」とした上で、各都道府県の医師勤務環境改善支援センターや地域医療支援センターの活用に取り組むべきと提案。また、長時間労働を招く要因として、応招義務以外に「常識化したフリーアクセス」「医師の高い倫理観を前提とした医療提供体制」を挙げ、「医師の働き方改革には国民の理解が不可欠だ」と訴えた。
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