【質問者】
品川俊一郎 東京慈恵会医科大学精神医学講座講師
2017年3月から道路交通法が改正され,75歳以上の高齢者の免許更新時に施行される認知検査において,第一分類と呼ばれる“認知症の恐れがある”と判定された場合と,一時停止違反や進入禁止,信号無視などの一定の交通違反を起こした場合にも認知機能検査が課されるようになりました。その結果,認知症の恐れがあると判定されれば,医師の診断書の提出が義務化されることになりました。日本医師会も2017年3月8日付けで手引きを作成しています1)。
医師に求められることは,診断書においては認知症の有無の判定です。具体的に言うと,①4大認知症のほか,軽度認知障害なども判定,②記憶・認知機能の低下に関する生活能力の評価,③記憶・認知障害に関して施行した検査の結果および施行の有無,画像検査の結果および施行の有無の評価が求められます。介護保険法第5条の2に規定される回復の見込みのない「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」と診断されれば,診断書をもとに都道府県公安委員会が判断し,免許が取消しとなります。
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