中医協は10日に次期2016年度診療報酬改定を厚生労働相に答申する。以下、主な個別改定項目の概要(右頁)を外来と在宅を中心に解説する。
外来医療では、前回2014年度改定で新設された地域包括診療料/加算のさらなる普及を図るため、要件を緩和する。診療所の施設基準でネックとされていた常勤医師数を「3人以上」から引き下げる。また、同診療料は15年7月時点で93施設の届出にとどまっていることを踏まえ、病院の施設基準から「救急病院等の指定」を削除する。
このほか、認知症患者に対する服薬管理などの主治医機能の評価として「認知症地域包括診療料/加算」を新設する。対象は「認知症以外に1以上の疾患を有する」入院以外の認知症患者で、1処方につき内服薬が5種類未満かつ抗うつ剤、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬の合計が3種類未満という基準を満たすことが算定要件。同診療料は月1回、同加算は再診時に算定できる。
また、小児科でもかかりつけ医機能を推進するため「小児かかりつけ診療料」を新設。適切な専門医療機関と連携し、継続的かつ全人的な医療を行うことを総合的に評価する。対象は3歳未満の患者で、①電話など患者からの問い合わせに対する常時対応、②急性疾患やアトピー性皮膚炎、喘息など慢性疾患についての管理、③健診結果などの把握と助言・指導を行うこと─などが算定要件となっている。
在宅医療では、前回改定で「同一日同一建物」の場合が大幅に引き下げされた在宅時医学総合管理料と特定施設入居時医学総合管理料の評価を細分化する。前回改定の影響で減額対象の「同一日」を避けて診療するケースが散見されたことから、定義を「単一建物」に変更、同じ建物内の診療人数に応じた評価とすることが狙い。具体的には訪問回数を①月2回以上(重症度が高い患者)、②月2回以上、③月1回─に分け、診療人数についても①1人、②2~9人、③10人以上─に3区分して評価する。
このほか、在宅医療を専門に実施する診療所の開設を認める。ただし、開設には「在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定」「地域医師会から協力の同意」などの要件を満たす必要がある。
調剤関連では、多剤投薬の是正に向け、入院患者の内服薬剤数が減少した場合の評価として「薬剤総合評価調整加算」、外来と在宅については処方内容を調整して内服薬剤数が減少した場合の医療機関に対する評価として「薬剤総合評価調整管理料」を新設する。また調整において他医療機関や薬局に照会や情報提供した場合の「連携管理加算」を新設する。