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診療報酬による過度な病床再編を懸念─ 中医協公聴会 ─

No.4684 (2014年02月01日発行) P.9

登録日: 2014-02-01

最終更新日: 2017-09-21

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【概要】中医協は1月24日、2014年度診療報酬改定について宮城県仙台市で公聴会を開いた。公聴会では、医療提供者や保険者、企業経営者、患者など計10人がそれぞれの立場から意見を発表した。

「病床機能報告制度との整合性を」

中小病院の立場で発言したのは、福島県郡山市の土屋繁之氏。今改定の大きな柱の1つに位置づけられている7対1入院基本料算定病床を削減する方針について「診療報酬による行きすぎた誘導は避けるべき」と指摘した。また、次期医療法改正で導入される予定の病床機能報告制度と診療報酬の整合性が重要と強調。「医療機関の自主的な取り組みを見守りながら、それを診療報酬で支える制度が必要」とし、病床の移行に伴い「急性期対応やリハビリなども亜急性期病床の重要な機能として評価すべき」と要望した。

宮城県気仙沼市で有床診を開設している森田潔氏は、東日本大震災で大規模半壊の被害に遭った2011年当時を振り返り、「重装備な有床診だったからこそ、院内に薬や医療材料、食料など生活必需品があった上、空き病床を使って被災1週間後には外来診療を再開できた」と強調。災害時の地域への貢献度も含め、介護施設より低く抑えられている入院基本料の引上げなど有床診への評価を求めた。

「医療連携はICT導入とセットで」

医療提供者と保険者の両方の立場から発言した宮城県涌谷町の町民医療福祉センターの佐々木敏雄氏は、「患者情報の共有が不可欠であり、ICTの活用は非常に重要」と指摘。重複検査・投薬などにも効果があるとし、「医療機関の機能分化と連携は、ICTの導入とセットで進めるべき」と提言した。導入にかかる費用については「診療報酬に限らず、何らかの助成制度や補助制度でもいいのではないか」との考えを示した。

保険者「個別項目へも配分すべき」

保険者や企業経営者からは3人が発言し、「景気は必ずしも回復していない」と揃って強調。医療の効率化とそれに伴う医療費抑制を強く求めた。東北電力健康保険組合の男性担当者は、宮城県内は他の健保組合も含め2012年度はすべて赤字であることを紹介し、「保険財政は危機的な状況にある」として窮状を訴えた。一方、医療機関の経営状態は「医療経済実態調査を見ると安定している」とし、「若干でもプラス改定となったことは残念」と述べた。消費税率引上げに伴う対応については、「受けた医療行為に見合った負担をするのが公平な仕組み。個別項目についても一定配分すべき」として、初・再診療など基本診療料に上乗せする方針の再検討を求めた。
このほか患者の立場からサリドマイド被害者の男性が診療報酬明細書の無料発行の徹底を要望。「完全実施を急いでもらいたい。これ以上の猶予は意味がない」と訴えた。

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