2015/16シーズンから季節性インフルエンザワクチンは,4種類のインフルエンザウイルスを含む4価ワクチンとなる
現行の季節性インフルエンザワクチンは不活化スプリットワクチン1種類であるが,ここ数年以内に複数の季節性インフルエンザワクチンが市販される予定である
インフルエンザパンデミック対策に向け,培養細胞を用いたインフルエンザワクチンが開発されている
現在インフルエンザ対策に用いられているインフルエンザワクチンには,季節性インフルエンザに対応する季節性インフルエンザワクチンと,新型インフルエンザウイルスのパンデミックに対応するプレパンデミックワクチンおよびプロトタイプワクチンとがある。
現行の季節性インフルエンザワクチンは,ウイルス全粒子について,エーテルまたは界面活性剤で発熱などの副反応に関与しているエンベロープを処理した後,ヘマグルチニン(HA)を精製したスプリットワクチンである。しかし,スプリットワクチンの効果には限界があるため,各種の剤形のインフルエンザワクチンの開発が進められている1)。本稿では,新規あるいは新規導入が計画されているインフルエンザワクチンを紹介する。
現行のインフルエンザワクチンは,皮下接種することで血中のIgG抗体を高め,高まったIgG抗体が,インフルエンザウイルスに感染した上気道粘膜に滲み出し,インフルエンザウイルスを中和することで発症を予防する,または軽症化することが期待されている。したがって,インフルエンザワクチンの効果を高めるためには,乳幼児から高齢者までのすべての年齢層で,流行株と一致した高い抗体価への誘導が大切である。現行の季節性インフルエンザワクチンの課題を表1にまとめた。また,これら課題を克服するために米国で使用されている季節性インフルエンザワクチンの種類を表2に示した2)。
なお,IgG抗体は抗原の変異に対する対応力は弱いが,IgA抗体は抗原の変異に対して対応力がある抗体である。
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