全国自治体病院協議会は18日に会見を開き、自治体病院の医師の働き方に関するアンケート調査の結果を公表した。政府が新設を検討している罰則付きの時間外労働上限規制が病院にも適用された場合、「診療体制を縮小せざるをえない」といった声や「医師の増員が不可欠」とする意見が多数集まった。邉見公雄会長は「偏在対策は30年以上置き去りの状態。病院の現場の実情を見ずに、時間外労働規制の話ばかり先行するのはおかしい」と訴えた。
調査は会員病院に対し7月に実施。879病院から回答を得た(回収率49.7%)。
それによると、非管理職医師における時間外労働の平均時間数は月34.8時間で、非管理職医師の28.3%が月60時間以上の時間外労働に従事していた。時間外労働が月60~80時間の医師数が最も多かった診療科は整形外科で、「過労死ライン」を超える月80~100時間、月100時間以上の区分でも整形外科が最多を占めた。高齢化による骨折の増加に加え、当直医が骨折見逃しによる訴訟を恐れるなどして夜間呼び出しが多くなることが影響しているという。
また、常勤医師全員を時間外労働規制の対象外となる「管理職」にしている病院は、全体では13.6%、100床未満に限ると36.4%に上っていた。
調査結果を踏まえ全自病は、9月に加藤勝信厚生労働相への緊急要望を提出。医師の地域・診療科偏在、病院機能の違いなどを考慮せずに時間外労働規制の適用を検討する動きに対し、地域医療の観点から強い懸念を示している。