加藤勝信厚生労働相は1日、政府の経済財政諮問会議に臨時議員として出席し、診療報酬・介護報酬の同時改定について「医療機関、介護事業者の損益率・収支差率は給与費の増加で低下傾向にあるが、賃金の上昇は他産業に比べて後れている」と述べ、経営実態を踏まえた改定を行う必要性を強調した。
会議終了後に会見した茂木敏充経済再生相と内閣府事務方によると、民間議員(有識者)は、診療報酬改定に向けて、遠隔診療を医療の効率化だけでなくベンチャー創出の観点からも推進すべきと提案。調剤技術料については、門前・門内薬局を中心に調剤基本料を見直すべきとした。
これに対し加藤厚労相は「遠隔医療については現在、慢性疾患などを例に議論されているが、今後さらに有効活用していく方向で議論したい」と応じ、調剤技術料については「門前・門内薬局が大病院周辺に集中しているという実態を認識し、適正化を図る方向で検討する」との考えを示した。
麻生太郎財務相は、財政制度等審議会の建議(11月29日)で、診療報酬・介護報酬の同時マイナス改定が提言されたことに触れ、「年末に向けて関係省庁と調整する」としたが、診療報酬本体のマイナスには直接言及しなかった。
来年度予算における社会保障費の自然増は概算要求段階で6300億円。財務省はこれを5000億円未満に抑制する方針。1300億円分は薬価引下げで捻出するとみられ、薬価財源がどれだけ診療報酬本体や介護報酬に回るかが焦点となる。