わが国におけるX線画像上の変形性股関節症有病率は,男性で0~2.0%,女性で2.0~7.5%とされ,約500万人の罹患者がおり,決して稀な疾患ではない。この多くは発育性股関節形成不全に起因した二次性股関節症であるとされてきたが,平均寿命の延びに伴い,一次性股関節症の増加も報告されている。
患者の多くは,殿部痛や鼡径部痛,下肢痛を主訴として整形外科を受診することが多く,初期に的確な治療を行えば予後は良好とされるが,初期診断が遅れると後の治療が難渋することもありうる。そのため本特集では,変形性股関節症の発症機序から病態,診断のための評価法,さらには,治療法を概説した。日常診療において,的確な診断・評価の一助となれば幸いである。
1 変形性股関節症発症のメカニズムと進行 (病期・症状)
玉川病院副院長・股関節センター長/東京医科歯科大学臨床教授 松原正明
2 変形性股関節症の治療─骨切り術と人工股関節全置換術を中心に
大阪大学大学院医学系研究科運動器医工学治療学寄附講座教授 菅野伸彦
3 変形性股関節症の臨床評価法
金沢医科大学整形外科学教授 兼氏 歩
金沢医科大学病院院長・整形外科学教授 松本忠美