厚生労働省は17日、11年ぶりの改訂となる「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の骨子案を公表した。医療・ケアチームと患者が繰り返し話し合うことの重要性を強調している。厚労省は2月末までにガイドライン改訂版のパブリックコメントを募集し、3月に改訂版を策定する方針。
同ガイドラインは2007年に厚労省が作成。15年には「終末期医療」を「人生の最終段階における医療」に名称変更したが、内容の改訂は初めて。
骨子案は、高齢多死社会の進行を背景に地域包括ケアシステムの構築が進められていることを踏まえ改訂されている。具体的には、①患者の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針についての話し合いは繰り返すことが重要であることを強調、②患者が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、その場合に患者の意思を推定する者について、家族など信頼できる者と事前に繰り返し話し合っておくことが重要、③病院だけでなく介護施設・在宅の現場も想定したガイドラインとなるよう配慮―の3つが改訂の柱となっている。
厚労省が骨子案を提示した同省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」では構成員から意見が相次いだ。特に、骨子案では患者が自らの意思を伝えられない場合に意思を推定する人を「家族等」と記載していることに対し、「今後、ますます家族がいない高齢者が増えるので、ここは患者が信頼できる『家族・代理人』と明記してはどうか」など、家族以外の「等」を明確化・整理する必要性を複数の構成員が指摘した。厚労省は「等」の範囲について「特定の資格保有者を想定しているわけではなく、本人と信頼関係があるなら誰でもよい。代理人の制度化も現時点では考えていない」(医政局在宅医療推進室)と説明した。