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【2018年度診療報酬改定・答申詳報】かかりつけ医機能の評価を充実

No.4895 (2018年02月17日発行) P.15

登録日: 2018-02-07

最終更新日: 2018-02-07

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2018年度診療報酬改定に関し、中央社会保険医療協議会は7日に答申した。新設された点数のうち、かかりつけ医機能や外来医療に関する主な点数を紹介する。

■機能強化加算、現状では1~2割が算定可能

既報の通り、かかりつけ医機能を評価する「機能強化加算」(80点)が新設された。算定要件は、かかりつけ医機能に係る診療報酬を届け出ていること。

具体的には、診療所または200床未満の保険医療機関のうち、地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療加算、認知症地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)、施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)の届け出等をしていることとする。厚労省によると、現在上記の届け出を行っている医療機関は、診療所または200床未満の保険医療機関のうち1~2割という。

■地域包括診療料・加算の要件緩和

なお、機能強化加算の算定要件に含まれる地域包括診療加算、地域包括診療料の要件が緩和された。医師の配置基準に関しては、常勤換算2名以上のうち、常勤医師は1名でよいこととする。地域包括診療加算の24時間対応に関しては「連携医療機関の協力を得て行うものを含む」とした。こうした緩和によって、機能強化加算が算定可能な医療機関は現状よりも増えると見込まれる。

■複数の医療機関による訪問診療が可能に

一般診療所の訪問診療の評価も充実する。在宅で療養する患者が複数の疾病を有している現状を踏まえ、複数の医療機関による訪問診療が可能となるよう評価を見直し、新たに、他の医療機関の依頼を受けて訪問診療を行った場合に同一建物居住者以外830点、同一建物居住者178点が算定できるようにする。

また、在宅療養支援診療所以外の診療所がかかりつけの患者に対し、他の医療機関との連携等により 24 時間の往診・連絡体制を構築した場合に算定する「継続診療加算」(216点、1月に1回)を新設する。

■AMR対策、遠隔診療、がん患者の就労支援を新設

国際的な課題である薬剤耐性(AMR)対策も診療報酬上で図られる。急性上気道感染症または急性下痢症により受診した小児の初診を対象に、抗菌薬が必要ではない場合に抗菌薬を処方せず、処方しない説明など療養上必要な指導を行った場合に「小児抗菌薬適正使用支援加算」(80点)が算定できる。

遠隔診療の評価も新設された。初診以外の患者が対象で、初診から6月の間は毎月同一の医師により対面診療を行っていることを要件とした。

「オンライン診療料」(70点、1月につき)は、リアルタイムでのコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いてオンラインによる診察を行った場合に算定。緊急時に概ね30分以内に当該保険医療機関で診察可能な体制を有する―などが施設基準とされている。診療に用いる情報通信機器の種類については、オンライン診療に関するガイドラインを今年度中に作成し、その中で示す。

がん患者の治療と仕事の両立を診療報酬上で推進することも新しい取り組みだ。主治医が産業医から助言を得て、患者の就労の状況を踏まえて治療計画の見直し・再検討を行う等の医学管理を行った場合の評価として「療養・就労両立支援指導料」(1000点)を設ける。

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