厚生労働省は22日、2018年度介護報酬改定を告示した。団塊の世代が全員75歳以上となる2025年に向けて、国民1人1人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、①地域包括ケアシステムの推進、②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現、③多様な人材の確保と生産性の向上、④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保─という4つの基本方針に基づき改定された。改定率はプラス0.54%。
厚労省老健局老人保健課の西嶋康浩介護保険データ分析室長は20日、日本医療法人協会が開催した改定説明会で講演した。
この中で西嶋氏は、地域包括ケアシステムを推進するために、医療と介護の連携強化を目的とした改定を行ったと説明。その1つが、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における協力医療機関・配置医師に対する評価の充実。これは、配置医師が施設の求めに応じて早朝・夜間または深夜に施設を訪問し、入所者の診療を行ったことを新たに評価するもので、「配置医師緊急時対応加算」として早朝・夜間の場合650単位/回、深夜の場合1300単位/回が算定できる。要件は、複数名の配置医師を置いていること、もしくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること─など。
この狙いについて西嶋氏は、「不要不急の救急搬送を減らしたい」と説明。さらに、省令改正により、あらかじめ入所者の急変時の対応方針を定めておくことを施設に義務づけるとした。
関連して、特養内で看取った場合の評価も新設する(看取り介護加算〔Ⅱ〕死亡日30~4日前:144単位/日、死亡日前々日、前日:780単位/日、死亡日:1580単位/日)。
このほか、訪問診療の主治医とケアマネジャーの連携も強化。西嶋氏は、現在の問題点として、ケアプラン変更に先立ちサービス担当者会議の開催が必要となり、円滑なサービス導入につながらないことがあると指摘。そのため改定後はケアプランの作成に関する運用を見直し、主治医等の助言を得た上で、サービス担当者会議を招集せずに、サービス担当者と利用者などの了解を得てケアプランを変更できることを紹介し、「臨機応変な対応が可能になる」と説明した。