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(1)外来でできる早期スクリーニング 専門治療につなげるために [特集:アルコール使用障害と早期対応]

No.4812 (2016年07月16日発行) P.26

吉本尚 (筑波大学医学医療系地域医療教育学講師)

登録日: 2016-07-16

最終更新日: 2016-11-22

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  • アルコール使用障害に該当する者は多く,プライマリケアを担う中小病院・診療所の医師がアルコールに関連した問題の早期対応,適切な紹介を行うことが求められてきている

    プライマリケアで特に効果的なアルコール使用障害への対応として,SBIRTという枠組みがある

    自分自身で対応可能か,専門医療へ紹介が必要かの判断のためには,適切なスクリーニングを行う必要がある

    スクリーニングにはAUDITおよびAUDIT-C,CAGE,Single Questionなどのツールがあるが,プライマリケアではAUDITが有用と考えられる

    1. アルコール使用障害の頻度と対策─誰がアルコールの問題に対応するのか?

    これまでわが国ではアルコールに関連する問題に対して,主に依存症の発見および対策が取られてきた。アルコール依存症に関連した対策は世界的に不足し,8%程度の患者にしか十分なケアが提供されていない1)。わが国でもアルコール依存症の5%しかアルコール専門医療機関に受診していないと推測されている2)。しかし,アルコールに関連する有害事象の多くは依存症ではない者で発生しているのは注目すべき点である。また,依存症者は皆,不適切な飲酒を一定期間行った後に依存症になることがわかっている。早期にアルコール使用障害のスクリーニングを行い,適切な介入につなげることによって,あらゆるタイプのアルコール関連有害事象を減少させる可能性が生じる3)
    アルコール使用障害に該当する者は多く,過剰な飲酒習慣を持つ者は1000万人,アルコール依存症者は100万人程度と推測されており4),アルコール専門医療機関だけでは対応できない状況である。このため,身体的・精神的・社会的な有害事象を生じる,またはアルコール依存症になる前に,早期発見と介入,適切な紹介を行うことが,プライマリケアを担う中小病院・診療所の医師に求められてきている。

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