産婦人科編② 日本プライマリ・ケア連合学会監修
本連載では,日本プライマリ・ケア連合学会/全日本病院協会が実施している「総合医育成プログラム」の中から,選りすぐりのクリニカルパールを紹介します。現場のニーズを熟知しているエキスパートが,プライマリ・ケア医にとって「まさにそこが知りたかった!」というポイントをわかりやすく解説します。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は,子宮頸癌と肛門癌の90%,中咽頭癌の70%,陰茎癌の60%に関連します1)。HPVは性行為等で感染しますが,コンドームでは完全に予防できず,感染してもしばらくは無症状です。HPVワクチンを接種することで,HPV感染を予防し,子宮頸癌,肛門癌,中咽頭癌,陰茎癌,尖圭コンジローマのリスクを低下させることができます(表1)。
日本では,12~16歳の女性(小学校6年~高校1年相当)は定期接種,17~27歳の女性(1997年4月2日~2008年4月1日生まれ)はキャッチアップ接種として,HPVワクチンが無料です。キャッチアップ接種は,2025年3月31日で終了となる予定ですが,それまでにHPVワクチンを1回以上接種していれば2026年3月31日まで,残りの回数も無料で受けることができます。男性は4価が適応となり,自治体によっては一部または全額の費用助成があります。自費接種の平均的な価格は,2価と4価では,1回約1万5000~1万7000円,9価は1回約3万3000~3万6000円です。