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膵囊胞の良悪性診断と手術適応【数多くの手法が報告されるも,その診断能において決定的なものはいまだなし】

No.4902 (2018年04月07日発行) P.54

桑原崇通 (愛知県がんセンター中央病院 消化器内科医長)

肱岡 範 (国立がん研究センター中央病院肝胆膵内科医長)

登録日: 2018-04-06

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  • 分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)を含む膵囊胞の良悪性診断や鑑別診断が困難な症例を経験します。
    膵囊胞診断の最新の動向と現在の課題,今後の展望を国立がん研究センター中央病院・肱岡 範先生にお願いします。

    【質問者】

    桑原崇通 愛知県がんセンター中央病院 消化器内科医長


    【回答】

    「IPMN国際診療ガイドライン(GL)2012年版」では,悪性を強く疑う“high-risk stigmata(HRS)”と,悪性を考慮する“worrisome feature(WF)”という2段階の悪性度の指標が作成され,手術適応に一定の指針が示されました。2017年に部分改訂が行われましたが,骨子に大きな変更はありません。

    質問にあるように,良悪性判断や鑑別診断,そして手術適応に悩む症例を時に経験します。やはり画像所見のみでは限界があることも事実であり,細胞診や囊胞液分析を参考にしたいところです。しかし,現在のGLのHRSとWFの診断基準は画像所見が中心であり,膵液細胞診や囊胞液分析による精査は組み込まれていません。これは,膵液細胞診の感度の低さ,超音波内視鏡下穿刺術(endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)による播種のリスクなどが原因であり,GLではむしろ膵液細胞診のみのための内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)やEU S-FNAは推奨されていません。

    しかし近年,IPMNの分子学的な研究も進み,膵液や囊胞液から得られる検体を用いた免疫染色や遺伝子検索などの進歩により,手術適応や悪性予測にもつながる報告が多数行われるようになってきています。そのうち,いくつかを以下に紹介します。

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