(千葉県 K)
2回目のベストなタイミングは決まっていません。治療においては「1日2回」,予防においては「1日1回」(24時間を超えない)を守れば,薬理上も適用上もほぼ問題ないと考えられます。
以上の判断材料として,以下(1)~(3)を提示します。
用量増加に伴い嘔気などが増加する可能性はあります。
・20~35歳の健康成人男子18例の単回投与の二重盲検試験では,バイタルサインおよび標準12誘導心電図を含めて300mgまでの忍容性が示されました。
・18~55歳の健康成人男子32例に反復投与(50 mg,100mg,200mg,500mgまたはプラセボを1日2回,6.5日間)した二重盲検試験では,1回500 mgで6例中4例に嘔気(うち2例が嘔吐)が発現したものの,500mgまでの忍容性が認められました。
・1~12歳のA型およびB型インフルエンザ患児10例(ドライシロップ剤1~3mg/kg,最大150mg/回)1日2回,5日間投与では,忍容性に問題はないものと判断されました。
・国内の健康成人に20mgを1日2回,6日間反復吸入投与,海外の健康成人に10mgを1日4回,6日間反復投与したとき,蓄積性は認められませんでした。
・16歳以上の患者を対象に,1回10mgあるいは20 mgを1日2回,5日間吸入投与したとき(二重盲検試験),ザナミビル投与と因果関係が否定できなかった異常症状,臨床検査値異常変動に臨床上特に問題となる所見はみられず,またその発現頻度は用量依存的に上昇することはありませんでした。
投与間隔の記載はなく,1日2回(治療)あるいは1日1回(予防)となっています(表1)。
なお,常識的に考えると,投与間隔は,治療において12時間,予防において24時間になります。ただし,2回目以降が夜中のこともあるので,臨機応変に対応する必要があります。初回と2回目の投与時刻が近くなった場合には,倍量投与している状態に近似します(成人のタミフル®であれば1回で150mg)。時間の関係上,これが予防投与に適用されたとしても,24時間間隔と比べて効果が高くなることはあっても,低くなるということはないと考えられます。参考までに,当院小児病棟における接触患者への予防投与5)時には,基本的に2回目は翌朝で統一しています。
逆に,タミフル®の予防投与では,最も感受性の低い株(B/Memphis/3/89)に対するIC95(30ng/mL)と,被験者の活性体の血漿トラフ値との関係から,24時間以上間隔をあけないように設定します6)。
【文献】
1) PMDA:タミフルⓇカプセル75添付文書.
[http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250021 M1027_1_35/]
2) タミフルⓇカプセル75, タミフルⓇドライシロップ3%医薬品インタビューフォーム.
[http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/ 450045_6250021M1027_1_031_1F.pdf]
3) PMDA:リレンザⓇ添付文書.
[http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250702 G1028_1_20/]
4) リレンザⓇインタビューフォーム.
[http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/ 340278_6250702G1028_1_014_1F]
5) Shinjoh M, et al:Pediatr Infect Dis J. 2012;31 (11):1119-23.
6) 日本ロシュ:タミフルカプセル75資料.
[http://www.pmda.go.jp/drugs/2000/g001202/index.html]
【回答者】
新庄正宜 慶應義塾大学医学部小児科専任講師