No.4904 (2018年04月21日発行) P.8
迫井正深 (厚生労働省保険局医療課長)
登録日: 2018-04-19
最終更新日: 2018-04-18
今月1日に適用された2018年度診療報酬改定。改定の事務局を担った厚生労働省保険局の迫井正深医療課長に改定の狙いを聞いた。
今回の改定が現場の先生方に何を語りかけたのかというと、 今、日本の社会が大きく変わろうとしているということです。人口構成が変わり、人口減少も急速に進み、その変化には地域差があります。都市部はこれから高齢者が増加しますが、日本の大部分の地域は高齢者の減少が始まっていて、病床稼働率も低下しています。
団塊世代が全員75歳以上となる2025年が目前に迫っていますが、これは通過点です。医療は社会に常に寄り添うものですから、その先の日本社会がどうなるのかを皆で考える必要がある、というのが改定の大きな柱です。
今後の外来医療のあり方を端的にまとめているのが、2013年8月の「社会保障制度改革国民会議報告書」です。ここでは「フリーアクセスの基本は守りつつ」「『緩やかなゲートキーパー機能』の導入は必要」と明記しています。残念ながら現状は患者さんの大病院志向が強い。症状に合う医療機関が分からないのでインターネットで探したり手っ取り早く大病院を受診しています。しかし、今後の外来医療は診療所を中心としたネットワークに変わっていくべきだということなのです。「緩やかなゲートキーパー機能」の私の解釈は「ガイダンスのあるフリーアクセス」です。
報告書公表の同月には、日本医師会と四病院団体協議会が合同提言を発表し、 “かかりつけ医機能”を発揮していくと宣言しました。一方で、日医総研の2017年の調査によると、国民の7割は、かかりつけ医など決まった医師を受診し、その判断で専門医を紹介してもらいたいと回答しています。つまり、医療提供側も医療を受ける側も、医師のガイダンスが必要ということで一致しているのです。