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肝門部胆管癌の術前評価方法と治療戦略の決定【残肝K値が0.05以上であれば安全域,0.05未満では機能的に切除不能】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.56

藤井 努 (富山大学大学院医学薬学研究部消化器・腫瘍・総合外科教授)

江畑智希 (名古屋大学大学院腫瘍外科学准教授)

登録日: 2018-05-18

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  • 肝門部胆管癌は術前の進展度評価が難しく,またどこまでの肝切除が許容されるかという手術術式の決定も容易ではありません。術前評価の方法ならびに治療戦略の決定について,名古屋大学・江畑智希先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    藤井 努 富山大学大学院医学薬学研究部消化器・腫瘍・総合外科教授


    【回答】

    肝門部胆管癌に対する標準的外科治療は,尾状葉を含む肝切除+胆管切除です。おおよそですが,これ以上の標準化はされていません。その大きな理由は,進展範囲と肝予備能の最適なバランスの上で術式が決定されるからです。このため,世界的には地域により異なった外科的アプローチが行われています。

    わが国では1990年頃から門脈塞栓術が一般化しました(保険未収載)。この術前処置により非塞栓(残)肝は2~3週で約10%(100mL)増加し,肝不全のリスクが減少します。門脈塞栓時代となり,胆管癌の肝切除は左葉,左三区域,右葉,右三区域の4種に集約されてきました。現在の術式決定とは,その患者において,この4ピースのどれがバランス的に優れているかを探ることです。以下に,側方進展と肝予備能を説明します。

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