輸入症例を発端とする麻疹の感染拡大が続いていることを受け、日本小児科学会は22日、ワクチン接種について、定期接種対象である1歳児(第1期)と今年度6歳になる未就学児(第2期)を最優先に接種すべきとの見解を公表した。使用するワクチンは、風疹排除を目指す観点からもMRワクチンを原則とし、1歳以上で2回(第2期定期接種前の1歳以上では1回)の接種記録があれば「免疫を有する」としている。
任意接種を推奨する対象には、①2回の定期接種を完了していない未成年者、②0歳児を持つ両親や同居家族、③妊婦の同居家族、④医療関係者、⑤保育・教育関係者、⑥海外渡航予定者―のほか、免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親や同居家族も含めた。
生後6~11カ月児への接種については、近隣で麻疹患者が発生した状況などにおける「緊急避難的な場合に考慮される手段」と位置づけ、有効性・安全性に関するエビデンスの集積が必要としている。一方、麻疹患者と接触あるいは同じ空間で過ごした生後6月以上の感受性者への緊急接種については、定期接種、任意接種に関わらず「速やかに検討する」とした。
また、国内で麻疹ワクチンが開発される以前に流行期を経験した50歳以上の者では、麻疹罹患歴のある者が多数を占めるとした上で、明らかな罹患歴を有する者への接種は不要であるとしている。