オリンピック選手などのトップアスリートからジュニアまで、幅広く活躍する日本の女性アスリートたち。その陰で無月経など、さまざまな健康問題を抱える選手が多く存在する実態が明らかになっている。この問題で国内初の調査を行い、昨年4月東大病院に「女性アスリート外来」を開設した能瀬さやか氏に話を聞いた。
①無月経(3カ月以上)、②利用可能エネルギー不足、③骨粗鬆症─の“三主徴”が挙げられます。無月経の原因はさまざまですが、女性アスリートの場合、多くが運動量に見合った食事が摂れていない利用可能エネルギー不足と考えられます。利用可能エネルギー不足による低体重や、無月経に伴う低エストロゲン状態は、骨量減少や骨粗鬆症の原因となる。これら三主徴を有するアスリートでは、疲労骨折のリスクが高まることも明らかになっています。
こうした問題について、トップアスリートは国立スポーツ科学センター(JISS)で対応してきましたが、それより少し下の競技レベルの選手達をフォローする取り組みとして、昨年4月、国立大学では初めて東大に外来を開設しました。毎週水曜の午後4時間診療しており、開設後1年間で延べ467人が受診しています。
無月経で受診する選手の中には既に摂食障害の選手も多いので、スポーツに詳しい精神科の先生に紹介します。疲労骨折で整形を受診した選手の紹介も多くなっています。
検査で無月経の原因がエネルギー不足となれば、公認スポーツ栄養士に運動量と食事量のバランスを見直してもらいます。選手に聞くと、「食べてます食べてます」と言うんですが、エネルギー摂取量だけでなく、運動によるエネルギー消費量も測定すると、エネルギー消費量に追いついていない選手が多い。