厚生労働省は24日、乳がん検診における「高濃度乳房」への対応に関する健康局長通知を発出した。厚労省研究班がまとめた高濃度乳房に関するQ&Aの周知を要請している。
乳腺が多く脂肪が少ない高濃度乳房の人は、マンモグラフィでは乳腺の陰に病変が隠れてがんが発見されにくい傾向がある一方で、高濃度乳房と判定された人に対して現時点で推奨できる有効な検査方法はない。そのため乳がん検診関連3団体(日本乳癌検診学会、日本乳癌学会、日本乳がん検診精度管理中央機構)は昨年3月、「現時点で全国の市町村で一律に乳房の構成に関する通知を行うことは時期尚早である」と提言。厚労省も提言と同様の判断を示した。
今回の通知では、市町村の判断で乳房の構成を伝える場合について「乳房の構成についての正しい理解がなければ、がん検診の受診者が不必要な検査を追加で受ける等の不利益が生じると考えられる」と指摘。その上で、厚労省研究班がこのほど、市町村ががん検診の受診者に対し乳房の構成を通知する際に留意すべき内容をQ&A形式でまとめたことを紹介し、関係者に周知するよう求めた。
Q&Aでは、高濃度乳房に関して9つの質問を設定し、その回答と解説、用語解説、関連する図表を記載している。例えばQ5「高濃度乳房では乳房超音波検査でがんが多く見つかると聞きました。住民検診でマンモグラフィに加えて乳房超音波検査をなぜやらないのでしょうか」との質問に対しては、「乳がん検診で、マンモグラフィに加えて乳房超音波検査を行うことによって死亡率が減少するかどうかについての科学的根拠や受診者の不利益について、明らかとなっていないためです」との回答を示している。