□非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)とは,胃内容物が食道に逆流することによる胸焼けや呑酸などの症状があるにもかかわらず,内視鏡所見で食道に粘膜傷害を認めないものである。
□胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の半数以上を占め,女性,非肥満者が多く,食道裂孔ヘルニアの合併が少なく,治療が効きにくいなど,粘膜傷害を認める逆流性食道炎(びらん性GERD)とは病態が異なることが指摘されており,逆流性食道炎の軽症型ではないと考えられている。
□NERDを含めたGERDの典型的な症状は胸焼けと呑酸である。
□定型症状だけではなく,非定型症状として非心臓性胸痛や咽喉頭異常感,慢性咳嗽などもある。
□逆流性食道炎とNERDの症状の差異をみると,NERDでは「すっぱいものが上がってくる」「胸が熱い」「胸が痛い」などの症状が少なく,「胃が重い」や「胃が痛い」などの機能性ディスペプシアのような症状が混在していることが多いとされている。
□症状の評価には自己記入式の問診票が有用である。問診票にはFスケール(frequency scale for symptoms of GERD:FSSG),GERD-Qなどの有用性が確認されている。Fスケールでは診断だけではなく治療効果判定や治療効果予測にも使用でき,さらに改訂Fスケールでは機能性ディスペプシア症状も評価することができる。
□上部消化管内視鏡検査では逆流性食道炎を認めない。
□好酸球性食道炎との鑑別には,上部消化管内視鏡検査時に生検を行う必要がある。
□胃食道逆流が症状に関与するNERDと,胃食道逆流と症状には関連がない機能性胸焼けとを鑑別するためには,食道内インピーダンス・pHモニタリングが必要である。
□NERDには機能性胸焼けや好酸球性食道炎などの鑑別すべき疾患が含まれている。
□食道運動障害との鑑別には食道内圧検査が有用である。
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