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食道憩室[私の治療]

No.5257 (2025年01月25日発行) P.39

森岡晃平 (慶應義塾大学医学部消化器内科/同大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門)

加藤元彦 (慶應義塾大学医学部消化器内科内視鏡センター教授/センター長)

登録日: 2025-01-27

最終更新日: 2025-01-21

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  • 食道憩室は,食道壁の一部が圧出または牽引により管外に囊状に突出した形態の異常である。上部消化管造影検査例のうち,1%に食道憩室を認めるとされている1)。いくつかの分類があるが,本稿ではその発生した部位により,①咽頭食道憩室(主にZenker憩室),②中部食道憩室(Rokitansky憩室),③横隔膜上憩室に大別して解説する。わが国におけるそれぞれの頻度は,①10%,②70〜80%,③10%である。

    ▶診断のポイント

    食道憩室は一般に無症状のことが多く,上部消化管造影検査や上部消化管内視鏡検査時に偶然発見されることが多い。Zenker憩室については,症状がある場合は初期には咽頭部の不快感が生じ,増大するにつれて嚥下困難,吐逆,口臭などを起こしやすくなり,吐逆による夜間咳嗽,誤嚥性肺炎を合併することもある。中部食道憩室や,横隔膜上憩室に症状がある場合は,嚥下障害,食物の逆流,嘔吐,疼痛などを呈することがある。

    【検査所見】

    食道造影検査:最も有用な検査であり,部位と形態を描出できる。食道造影では囊状あるいは半球状に突出する特徴的な像を呈する。

    上部消化管内視鏡検査:内視鏡検査では,憩室は囊状のくぼみとして認められる。大半は正常粘膜で覆われており,憩室に食物残渣を認める場合もある。食道憩室に食道癌を合併することもあり,注意深く観察する必要がある。

    食道内圧検査:Zenker憩室や横隔膜上憩室は食道内圧の上昇が成因に関与しているとされるため,食道内圧検査を行い,運動機能異常の評価を行うことも必要である。

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