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小腸腫瘍[私の治療]

No.5255 (2025年01月11日発行) P.46

日比谷秀爾 (東京科学大学消化器内科)

大塚和朗 (東京科学大学消化器内科教授)

岡本隆一 (東京科学大学消化器内科教授)

登録日: 2025-01-13

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  • 小腸腫瘍は,消化管腫瘍の5%と割合は低い疾患であるが,近年増加傾向である。良性腫瘍として腺腫,脂肪腫,リンパ管腫,血管腫などがあり,悪性腫瘍として腺癌,神経内分泌腫瘍,転移性腫瘍,悪性リンパ腫,消化管間質腫瘍(GIST)などがある。また,非腫瘍性病変として過誤腫(Peutz-Jeghersポリープ,若年性ポリープ),Cronkhite-Canada症候群などがある。

    ▶診断のポイント

    小腸腫瘍は頻度が低いため,スクリーニング検査での診断対象とはならず,偶発的に指摘されるか,有症状時に診断されることが多い。原因不明の顕性・非顕性出血,腹痛・腹部膨満・嘔吐などの腸閉塞症状を認める場合などに,小腸腫瘍の可能性を考慮する。

    小腸造影,造影CT,カプセル内視鏡,バルーン内視鏡を用いて診断していく。小腸造影は大きさや局在,狭窄を診断可能である。造影CT検査は短時間で施行でき,内視鏡検査や小腸造影検査で得ることができない腸管外情報の評価が可能であり,初期検査として勧められる。カプセル内視鏡検査は小腸全体の観察が可能であり微小病変の描出に優れるものの,受動的な視野であり腫瘍の全体像をとらえられず大きな腫瘍が偽陰性となること,通過速度の速い十二指腸から上部空腸に見落としがあることや滞留のリスクがある。バルーン内視鏡は他検査方法に比べて病変診断能に優れており,病変を直視下に観察し生検も可能であることから精密検査として優れている。

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