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食道・胃静脈瘤

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-12
小原勝敏 (福島県立医科大学消化器内視鏡先端医療支援講座教授)
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  • ■疾患メモ

    持続的な門脈圧亢進状態に伴って,生理的に存在する門脈─大循環系交通枝の径が拡大し,門脈から大循環への血流ルートとしての役割を担うようになる。食道・胃静脈瘤(esophagogastric varices)はこの門脈─大循環側副血行路の一部であり,食道および胃上部の粘膜下層に静脈が腫瘤状に拡張したものである。門脈圧亢進をきたす疾患には,肝硬変,特発性門脈圧亢進症,肝外門脈閉塞症,バッド・キアリ症候群などがある。

    食道・胃静脈瘤の90%以上は肝硬変の合併症として発生する。特殊な場合として,慢性膵炎,膵腫瘍などによる狭窄や閉塞例がある。脾静脈領域の局所性門脈圧亢進(左側型門脈圧亢進症)のために,短胃静脈を介した遠肝性副血行路として胃静脈瘤が形成されることがある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    食道静脈瘤(esophageal varices:EV),胃静脈瘤(gastric varices:GV)のいずれも唯一の症状は突然の出血であり,出血量が多いとショック状態となる。高度肝障害例(Child-Pugh分類 C,T-Bil 4mg/dL以上)では,出血により容易に二次性肝不全をきたし致命的となる。

    【検査所見】

    静脈瘤の診断には内視鏡検査が不可欠である。形態が大きい,色調が青い,発赤所見(RC sign)が高度なほど出血の危険性が高まる。

    基礎疾患の鑑別には,一般的な血液生化学検査やウイルス検査以外に,腹部超音波検査,腹部CT,MRI検査などの画像診断,あるいは門脈圧測定や肝生検などが有用である。

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