□患者が満足する症状の改善を第一の治療目標とする。
□上部消化管内視鏡検査でHelicobacter pylori感染が疑われる場合には,感染の有無を確認する。
□ディスペプシア症状は日々変化することもあるため,4週間程度は処方を継続して効果を判定する。
□効果が得られない場合に漫然と同一薬剤を投与するのではなく,その他種々の治療法を考慮する。
□器質的疾患の除外を常に念頭に置いて治療を行う。
□必ずしも単一薬剤での治療で効果が得られるとは限らないため,消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬の変更,あるいは併用を考慮する。
□器質的疾患の除外を行わずに漫然と治療を行わないようにする。
□ガイドラインによる診断と治療のフローチャートを図に示した。
□H. pylori感染がディスペプシア症状の原因であると考えられる場合には,H. pylori除菌治療を考慮する。ただし,FDにおけるH. pylori除菌の必要治療数(number needed to treat:NNT)は13とされているため,患者に過度の期待を与えないようにする。
□優位な症状を聴取しながら薬物治療を行う。ただし,FDに対してはPDS症状に対するアコファイドⓇのみが保険適用となる。
□消化管運動機能改善薬は以下のように処方する。
□酸分泌抑制薬としてプロトンポンプ阻害薬(ネキシウムⓇ,タケプロンⓇ,パリエットⓇ),H2受容体拮抗薬(ガスターⓇ,アシノンⓇ,アルタットⓇ,ザンタックⓇ)を処方する。
□漢方薬(六君子湯)や抗不安薬(セディールⓇ)を用いる。
□併存する疾患として,胃食道逆流症(GERD)や過敏性腸症候群(IBS),慢性便秘などが挙げられる。
□常に患者の訴えを引き出すように質問票などを用いながら症状を聞く。
□①器質的疾患の除外ができない場合,②初期治療および二次治療に抵抗性である場合には,専門医への紹介を考慮する。
□年齢によって治療方針を変更する必要はない。
□ただし,高齢者は肝機能,腎機能等の生理機能が低下していることがあるため投薬の継続には注意する。
□基本的には外来での加療が可能である疾患である。
□患者・医師の良好な関係を構築する。
▶ 日本消化器病学会, 編:機能性消化管疾患診療ガイドライン2014 -機能性ディスペプシア(FD),南江堂, 2014.
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより