□メッケル憩室(Meckel diverticulum)は胎生期の卵黄管の遺残で,比較的稀な先天性憩室である。回盲部より口側1m以内に認められ,固有筋層を有する真性憩室である。
□大腸憩室(diverticulum of the colon)の多くは固有筋層を欠く仮性憩室である。固有筋層を貫く血管貫通部付近から腸粘膜が固有筋層を貫いて腸管奨膜側に嚢状に突出する後天性憩室である。加齢による腸管の脆弱化や,低残渣食の摂取による腸管の分節運動の亢進に伴う腸管内圧の上昇などにより生じるとされる。
□大腸憩室は高齢になるにしたがって増加し,20~40%にみられると報告されている1)。右側結腸に多くみられるが,加齢とともに左側結腸にみられるようになる。
□大腸憩室炎の発症はわが国では10%以下とされる。
□ほとんどは無症状である。
□時に,憩室炎,穿孔,臍と繋がっていることによる腸閉塞を発症することがある。
□憩室内の粘膜に胃粘膜の迷入をみることがあり,時に潰瘍を形成して出血をきたすことがある。
□憩室が小腸内に翻転すると腸重積を発症することがある。
□小腸X線造影検査や小腸内視鏡検査により本症を診断する。
□メッケル憩室が翻転すると,腹部CTにて腫瘤様に認められる。
□多くは無症状であるが,便通異常,腹部膨満感,腹痛などをきたすことがある。
□時に,憩室から出血し,下血がみられることがある。
□憩室炎を発症すると,局所の腹痛・圧痛,発熱がみられる。
□注腸X線:側面像で腸管の外側に嚢状の突出像として描出される。正面像では平滑な円形像や,その中にバリウムが溜まると円形の境界明瞭なバリウム斑として描出される。
□大腸内視鏡:円形で表面平滑な陥凹としてとらえられる。
□腹部CT:憩室炎は,憩室周囲の腸管壁の肥厚と周囲の脂肪織の混濁としてとらえられる。
□腹部超音波:憩室炎は,腸管壁より突出する腫瘤様の低エコー域とその周囲の腸管の肥厚,さらに進むとその周囲に連続する脂肪織炎による高エコー部分が広がるようになる。
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