□薬剤性腸炎(drug-induced enterocolitis)は,薬剤の投与により下痢,下血,腹痛などの臨床症状が惹起され,腸管にびらんや潰瘍などの炎症性変化を生じるものである。
□抗菌薬起因性腸炎(偽膜性腸炎を含む),出血性腸炎,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)起因性腸炎,microscopic colitisなどがある。
□抗菌薬起因性腸炎では下痢が多い。腹痛で発症する場合もある。
□出血性腸炎は突然発症する血性下痢と腹痛が特徴である。あらゆる年齢層でみられる。
□NSAIDs起因性腸炎や抗血栓薬起因性腸炎は,消化管出血や貧血で内視鏡をして発見されることが多く,最近増加傾向にある。大腸よりも小腸が多い1)。
□プロトンポンプ阻害薬などによるmicroscopic colitis(collagenous colitisとlymphocytic colitis)も注目されている。特徴は,慢性水様性下痢である2)。
□原因不明の下痢,下血や腹部症状を訴える患者をみた場合には,詳細な薬歴聴取を行う。
□下部消化管内視鏡で出血性の粘膜傷害,びらん,潰瘍,偽膜性腸炎の場合は,偽膜の付着などの所見を確認する。Clostridium difficileやtoxinに関する検査が必要である。
□NSAIDs起因性腸炎やアスピリン起因性腸炎は小腸粘膜傷害もあるので,カプセル内視鏡などでの小腸検索が必要となる。
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