□腸管ベーチェット病(intestinal Behçet disease)は特殊型ベーチェット病に分類される。突然の穿孔や大出血をきたし重症化することもある。手術率および再手術率も高い。
□近年,抗TNF-α抗体製剤が保険適用となり,その有効性が期待されている。
□厚生労働省ベーチェット病研究班診断基準の完全型または不全型と診断される症例で,回盲部に典型的な類円形,境界明瞭な深掘れ潰瘍を認める。ただし,診断基準上ベーチェット疑いにとどまる症例も多い。この場合は,単純性潰瘍との相違が問題となる1)2)(「§5-38 単純性潰瘍/非特異的多発性小腸潰瘍症」参照)。
□発熱,関節痛,口腔内潰瘍などベーチェット病に伴う症状がみられる。回盲部病変の症状としては右下腹部痛,腫瘤の触知を認め,穿通や穿孔時には反跳痛など腹膜刺激症状を伴う。時に大量下血を伴う。
□一部の患者では回盲部以外の消化管や食道に潰瘍病変が出現することがある。食道病変を伴う場合は嚥下時痛や気管瘻形成に伴う咳嗽を認める。
□血液検査:白血球増加,貧血,血清CRP値上昇,低蛋白・低アルブミン血症がみられる。
□下部消化管内視鏡:回盲部に典型的な類円形,境界明瞭な深掘れ潰瘍を認める(図)。
□上部・下部内視鏡検査,小腸カプセル内視鏡など:消化管(小腸,大腸,食道)に潰瘍病変を認める。
□腹部CT:回盲部病変部位の腸管壁肥厚,腫瘤形成がみられる。穿通や穿孔を伴う場合は限局性腹膜炎の所見やfree airを認める。
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