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放射線性腸炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
仲瀬裕志 (札幌医科大学医学部消化器内科学講座教授)
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  • ■疾患メモ

    放射線性腸炎(radiation enteritis,radiation-induced enteritis)とは,放射線治療により放射線を腹部や骨盤の癌に照射したことによって,腸管粘膜の壊死が生じる病態である。

    子宮癌や卵巣癌,前立腺癌といった婦人科ないし泌尿器科における悪性腫瘍の治療後に発症する。放射線治療例に対する頻度では,婦人科系疾患では約20%,前立腺では約22%である。

    放射線量が60Gyを超えると発症率が上昇する。

    病理学的所見と経過から,放射線による早期障害と血流障害による二次的変化である晩期障害が存在し,それぞれの病態が異なることを1938年にToddらが提唱した1)

    2カ月以内に生じる早期障害と,数カ月から数年後に発症する晩期障害に分類される。早期障害の頻度は30~75%に,晩期障害は2~20%にみられる。

    早期障害は腸管上皮細胞に生じる直接作用で,浮腫による局所還流障害である。可逆性の変化であり,治療後数週間でほとんどは改善する2)

    晩期障害は動脈内膜炎による血管壁の肥厚により微小循環障害が生じ,線維化や動脈硬化性変化を伴う。不可逆性の変化であり,臨床上問題となる2)

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    早期障害では悪心,嘔吐,しぶり腹,水様下痢,粘液排出,出血,肛門痛などがみられる。

    晩期障害では嘔気・嘔吐,仙痛性腹痛,血性下痢,しぶり腹,脂肪便症,体重減少などがみられる。

    【検査所見】

    血液検査:CRP,赤沈の上昇,貧血などがみられるが,いずれも本疾患に特異的な検査所見とは言えない。

    内視鏡:放射線性腸炎の内視鏡所見には,Shermanの内視鏡的重症度分類(3)が用いられる

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    コチラより

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