□腸重積(intussusception,intestinal intussuscetrion)は,通常口側腸管が肛門側腸管内に嵌入して起こる。
□その80~90%は乳幼児に発生する。
□反復性腹痛,嘔吐,血便が3主徴とされる。ただし,新生児(1カ月未満),乳児(1カ月~1歳未満)は腹痛を訴えることができないため,ill-doing徴候と言われる,不機嫌,不活発,啼泣などの徴候に注目する必要がある1)。
□腹痛は間欠的で,急激な仙痛発作と無痛の期間が1~2時間ごとに繰り返す。嘔吐は全症例の8割以上にみられ,腹痛に伴い突発的に認められる。
□血便排泄を認めるのは半数以下とされる。ついで,うっ血し浮腫を生じた嵌入腸管が腸管内を閉塞し,腸閉塞症状を呈する。時間の経過によって絞扼性イレウスの状態となり,腸壊死による腹部膨満,発熱,不隠,意識障害,ショックとなる可能性がある。
□腹部所見では,右上腹部にソーセージ様に腹部腫瘤を触知することが多い。腫瘤は可動性があり固く圧痛を伴う。回盲部からの重積が進行すると,触診上,右下腹部が空虚となるDance徴候が認められる。
□画像検査では,まず腹部単純X線検査を施行し,小腸ガス像の程度を確認する。結腸ガスは認めないことが多い。立位で横隔膜下遊離ガス像があれば腸穿孔を示唆しており,緊急開腹手術の適応となる。
□ついで,超音波検査を行う。target sign(Bull's eye sign),pseudokidney signなどと称される特有の像を呈する2)。腫瘤に一致して重積した腸管の三層構造を認めれば確定的である。
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