□腎機能低下によるものではなく,尿細管機能異常による代謝性アシドーシスを尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis:RTA)と呼ぶ。
□腎臓の遠位尿細管でのH+排泄障害であるⅠ型(遠位型)・重炭酸の再吸収抑制によるⅡ型(近位型)・アルドステロン低値か尿細管のアルドステロン反応性低下によるⅣ型(高K性遠位型)に分類される。
□RTAの発症頻度は報告されていないが,遺伝性のものはいずれのタイプも稀である1)。
□後天性疾患ではⅠ型ではシェーグレン(Sjögren)症候群に伴うもの,Ⅱ型ではファンコーニ(Fanconi)症候群に伴うものが多く,Ⅳ型は偽性低アルドステロン症Ⅰ型・Ⅱ型や糖尿病性腎症などでみられる2)。
□アニオンギャップ(AG)正常の高Cl性代謝性アシドーシスを特徴とする。
□原疾患による症状が主体であるが,アシドーシスやK異常に伴う症状も起こる。
□アシドーシス:過換気・努力性呼吸・呼吸困難,食欲不振,悪心・嘔吐,頭痛。
□K異常:Ⅰ型・Ⅱ型では低K血症(弛緩性麻痺,四肢近位筋力低下,多尿,便秘,イレウス),Ⅳ型では高K血症(痙攣,腱反射亢進)。
□腎結石:Ⅰ型に多い。
□各型の検査所見を表に示す。
□Ⅰ型:低K血症,高Cl血症,尿pH>5.5,尿中クエン酸排泄量減少,尿中Ca排泄量増加。
□Ⅱ型:低K血症,高Cl血症,尿pH<5.5(ファンコーニ症候群を伴う場合はさらに低P血症,ALP上昇,活性化ビタミンD低下,%TRP低下,汎アミノ酸尿,腎性糖尿)。
□Ⅳ型:高K血症,高Cl血症。
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