株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

尿細管性アシドーシス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-19
吉崎 幸 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎臓内科学分野)
内田信一 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科腎臓内科学分野教授)
    • 1
    • 2
  • next
  • ■疾患メモ

    腎機能低下によるものではなく,尿細管機能異常による代謝性アシドーシスを尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis:RTA)と呼ぶ。

    腎臓の遠位尿細管でのH排泄障害であるⅠ型(遠位型)・重炭酸の再吸収抑制によるⅡ型(近位型)・アルドステロン低値か尿細管のアルドステロン反応性低下によるⅣ型(高K性遠位型)に分類される。

    RTAの発症頻度は報告されていないが,遺伝性のものはいずれのタイプも稀である1)

    後天性疾患ではⅠ型ではシェーグレン(Sjögren)症候群に伴うもの,Ⅱ型ではファンコーニ(Fanconi)症候群に伴うものが多く,Ⅳ型は偽性低アルドステロン症Ⅰ型・Ⅱ型や糖尿病性腎症などでみられる2)

    アニオンギャップ(AG)正常の高Cl性代謝性アシドーシスを特徴とする。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    原疾患による症状が主体であるが,アシドーシスやK異常に伴う症状も起こる。

    アシドーシス:過換気・努力性呼吸・呼吸困難,食欲不振,悪心・嘔吐,頭痛。

    K異常:Ⅰ型・Ⅱ型では低K血症(弛緩性麻痺,四肢近位筋力低下,多尿,便秘,イレウス),Ⅳ型では高K血症(痙攣,腱反射亢進)。

    腎結石:Ⅰ型に多い。

    【検査所見】

    各型の検査所見をに示す。

    07_26_尿細管性アシドーシス


    Ⅰ型:低K血症,高Cl血症,尿pH>5.5,尿中クエン酸排泄量減少,尿中Ca排泄量増加。

    Ⅱ型:低K血症,高Cl血症,尿pH<5.5(ファンコーニ症候群を伴う場合はさらに低P血症,ALP上昇,活性化ビタミンD低下,%TRP低下,汎アミノ酸尿,腎性糖尿)。

    Ⅳ型:高K血症,高Cl血症。

    1190疾患を網羅した最新版
    1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中


    PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
    コチラより

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top