□くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)は,外傷や炎症,その他の脳血管奇形などの結果として生じることもあるが,通常は脳動脈瘤が破裂した結果として生じるものを指す。
□破裂動脈瘤は,部位別には前交通動脈瘤,内頸動脈-後交通動脈瘤,中大脳動脈瘤が多い。
□50~70代に多く,女性に多い傾向がある。迅速な対応が必要な,致死的な病態である。
□労作時に突然発症する頭痛・嘔吐および意識障害が最も典型的な症状である。
□項部硬直・頸部屈曲制限を伴う。
□重症例では,心肺停止状態で搬送されることもしばしばある。
□発症時の意識障害の程度は最も転帰に相関する因子であり,これによる重症度分類が広く用いられている。modified World Federation of Neurosurgical Societies(m-WFNS)分類を示す(表)。
□SAHが疑われた場合,初期診療の後,速やかに頭部CTを撮像し,これを診断する(図)。
□MRIのFLAIR(fluid attenuated inversion recovery)法,拡散強調画像,グラディエントエコー法はCTよりも鋭敏にSAH検出可能な場合がある。
□画像で診断がつかない場合,腰椎穿刺を行うべきである。
□SAHと診断された場合,速やかに破裂脳動脈瘤を検出する必要があり,CTアンギオグラフィ(CTA)や選択的脳血管撮影(digital subtraction angiography:DSA)などを実施する。
□CTAは,CT室でSAH診断後に速やかに実施可能で,比較的低侵襲である利点がある。
□瘤内塞栓術を引き続き実施することを想定し,DSAを第一選択とする場合も多い。
□多発脳動脈瘤を認めることも多い。
□SAHが診断されたにもかかわらず,各種検査で脳動脈瘤を認めなかった場合においても,時間をあけて再度同様の検査を繰り返す必要がある。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより